私は夏の風物詩として花火を見るのが大好きです。
しかし、花火には私にとって忘れられない思い出があります。
それは、高校時代の初恋の話です。
私は高校2年生のとき、同じクラスの男子に恋をしました。
彼は優しくて面白くてスポーツ万能で、クラスの人気者でした。
私は彼に話しかけることもできないほどシャイでしたが、彼のことをずっと見ていました。
ある日、学校で花火大会に行く話が出ました。
私は彼と一緒に行けるチャンスだと思って、勇気を出して誘ってみました。
すると、彼は「いいよ」と快く承諾してくれました。
私は嬉しくて飛び上がりそうでした。
花火大会の日がやってきました。
私は特別に可愛い浴衣を着て、髪もアレンジして、彼に良い印象を与えようとしました。
彼と待ち合わせ場所で会うと、彼も浴衣姿でかっこよくてドキドキしました。
彼は私を見て「おお、似合ってるね」と言ってくれました。
私は照れながら「ありがとう」と言いました。
二人で手をつないで会場に向かいました。
会場は人でごった返していて、花火の音や歓声や屋台の匂いが漂っていました。
私たちは川沿いの芝生に座って、花火を見ることにしました。
空に咲く色とりどりの花火が美しくて、私は感動しました。
彼も「すごいな」と言って笑顔で見入っていました。
私は彼の顔を見て、このままずっと一緒にいたいと思いました。
そっと彼に近づいて、「ねえ」と声をかけました。
「なんだよ」と彼が振り向きました。
その瞬間、空に大きな花火が打ち上がりました。
その光に照らされた彼の顔が美しくて、私は思わず「好き」と言ってしまいました。
彼は驚いたように目を見開きました。
「え?」と言って聞き返しました。
「好きだよ」と私はもう一度言って、彼にキスしようとしました。
しかし、彼は私から顔をそむけて、「ごめん」と言って立ち上がりました。
「どうして?」と私は泣きながら尋ねました。
「俺、実は他に好きな人がいるんだ」と彼は言って走り去りました。
私は呆然としてその場に残されました。
空にはまだ花火が続いていましたが、私には何も見えませんでした。
ただ涙が止まらなくて、胸が苦しくて、呼吸ができなくて・・・。
それから何年も経ちましたが、私は今でもあの日のことを思い出します。
あの花火は私にとって忘れられない切なさの象徴です。
でも、あの日のことがなければ、今の夫と出会わなかったかもしれません。
夫は私の初恋の彼とは違って、私を大切にしてくれます。
私は夫と息子と幸せに暮らしています。